唾液腺について
■唾液腺について 唾液を分泌する唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺の大唾液腺と口腔の粘膜下に散在する小唾液腺から構成されています。 ■唾液腺が腫(は)れる病気 炎症では流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、反復性耳下腺炎、唾石が主なものです。その他に腫瘍の場合がありますが子どもにはまれです。 (1)おたふくかぜ(流行性耳下腺炎) おたふくかぜは、ムンプスという名のウイルス感染により、主に耳の下にある耳下腺が腫(は)れることが多いので、流行性耳下腺炎とも呼ばれています。しかし腫れるのは耳下腺だけでなく、あごの下の顎下腺なども腫れることがあります。普通は両側が腫れますが、片方だけのことや腫れがはっきりしない場合(不顕性感染といいます)もあります。 おたふくかぜは一度かかるとほとんどの人で終生免疫が成立しますので、ムンプスウイルスによる耳下腺炎の反復はまずありません。しかし、耳下腺が腫れる病気はほかにもあり、一度目が本当におたふくかぜであったかどうかわからないことがあります。おたふくかぜにがかったことがあるかどうかをはっきりさせるには、病院でムンプスウイルスの抗体価を調べればわかります。その結果おたふくかぜにかかっていないとわかれば、予防接種をお勧めします。予防接種には副作用の可能性もありますが、自然感染のときに比べ、程度はかなり低いといえます。 (2)反復性耳下腺炎 反復性耳下腺炎は耳下腺が繰り返し腫れる病気です。子どもの病気で、たいていは大きくなったら治ります。ただ、中にはなかなか治らず10年以上も腫れを繰り返す場合があります。多くは10歳以前に治ります。 病気自体の原因ははっきりしていませんが、腫れを繰り返す原因は口の中に住んでいる弱い細菌(常在菌)だろうと言われています。炎症の予防のためにはきちんと歯磨きをしたり、うがいをしたりして口の中を清潔に保つことが大事です。虫歯も治療しましよう。慢性扁桃炎や、慢性副鼻腔炎がある場合も治療が必要です。 耳下腺が腫れてしまったときは、細菌の感染が起きている状態と考えられますので、抗菌薬を内服します。また、抗菌薬による耳下腺洗浄も有効です。 (3)唾石 唾石はほとんど顎下腺にみられ、まれに耳下腺にできることがあります。唾石により唾液の流出が妨げられるために起こる食事時の痛みと顎の下の腫れが主な症状です。痛みと腫れは食事後は軽快しますが、食事ごとに繰り返しみられます。この場合は、急性期は症状が強く出ますが、慢性化して腺の萎縮が起これば、痛みや腫脹は軽度になることもあります。 時に、唾石による唾液の停滞によって二次感染が引き起こされ、口腔底や顎下腺に炎症が及ぶと、激しい痛みとともに発熱や悪寒などの全身症状を伴うこともあります。さらに頸部に炎症が広がり、嚥下痛、嚥下障害、開口障害など重症化することがあります。 |
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